2026年のラグビー標準競技規則では、フリーキックを与えられたチームが、その代わりにスクラムを選ぶことはできません。スクラムを選べるのは、ペナルティを与えられた場合です。
ただ、フリーキックのあとにスクラムで再開する場面まで、なくなったわけではないんです。「選べないはずなのに、いまスクラムになった?」と迷ったら、キックを選ぶ場面と、その後に起きたことを分けて見てみよう。
スクラムを「選ぶ権利」は、ペナルティとフリーキックで違う
World Rugbyの第20条3は、ペナルティを与えられたチームがスクラムを選べると定めています。フリーキックは、この選択肢に含まれていません。
ラインアウトで与えられた場合の選択も、第20条4で分けられています。ラインアウトは、タッチからボールを投げ入れて競り合う再開方法です。
| 与えられたもの | 代わりに選べる再開方法 |
|---|---|
| ペナルティ | スクラム |
| ラインアウトでのペナルティ | 同じ地点でのラインアウト、またはスクラム |
| ラインアウトでのフリーキック | 同じ地点でのラインアウト |
最後の行を、スクラムまで選べるという意味へ広げないでね。似た名前のキックでも、選べるものは同じではありません。
日本ラグビーフットボール協会の2024年6月17日の通達でも、フリーキックからスクラムを選ぶ選択肢を外す改正が案内されています。昔の試合や古い解説を見て覚えた人は、記憶違いと決めつけず、説明された時期も確かめてみて。
出典:World Rugby 第20条3・4、日本協会の改正通達
相手が正当にキックを阻止したら、相手ボールのスクラムになる
では、フリーキックのあとにスクラムが出てくるのは、どんな場合?
一つの例が、第20条16・17にある、相手側の正当なチャージです。キッカーが蹴る動きを始めたら、相手は必要な後退などの条件を満たしたうえで、キックを阻止しようとすることができます。
正当にチャージしてフリーキックの実施を防いだ場合、そのキックは認められず、相手側がボールを投入するスクラムで再開します。
たとえば、Aチームがフリーキックを得たあと、Bチームが正当なチャージでキックを阻止した、と考えてみて。このときスクラムへボールを入れるのはBチームです。
Aチームが自分でスクラムを選んだ場面とは、ボールを入れる側も、そこへ至る理由も違うんだね。
反対に、相手がまだ後退すべき距離を戻っていなかったり、キックを不当に妨害したりすれば、正当な阻止とは扱えません。フリーキックのたびに自由に飛び出してよい、という説明ではないので注意してね。
出典:World Rugby 第20条12〜17、2026年日本語版競技規則・第20条
観戦中にスクラムへ変わったら、「どちらが投入する?」「その直前に何が起きた?」を見てみよう。最初の笛だけで判断せず、その後の一動作まで追うと、同じスクラムでも再開の理由を読み分けられるよ。